本能をくすぐるゲーム

もう一つ、男の子だな〜と思った話です。

CodeFriendsの授業で、「収穫せよ」というカリキュラムがありました。一通り技術を教えてもらって、みんなで共通のテーマで作るということになりました。

セーブ機能を使ってコレクションをするというゲームなので、まず何を集めたいかということで、みんなの意見で候補を挙げていき、その中で希望を一人二つずつ言って一番多かったものにしようということになりました。

ところが、「武器」と「切手」が2票ずつの同数になってしまい、この二つで決選投票ということになりました。この時点で私は、ああ武器で決まりだなーと思いました。その日の出席者は5人で、男の子4人に女の子1人だったからです。

だいたい、集めたいものが武器というのもなかなかのものです。短剣とかソードとか銃とかハンマーとか、現実に持っている子なんていないはず。でも、みんなゲームをやってきているので、最初は木の棒からはじまって、銅の剣、銀、・・勇者の剣とどんどん武器もいいものになって強くなっていくというRPGの定石を当たり前のように共有しているからこそだと思います。

現実生活で、本来の目的のために武器を集めていたら、ちょっと怖い話です。

でも、ゲームの世界だから当然許されて、男の子たちはかっこいい武器が大好きです。案の定、武器に決まりました。

次に、それぞれ何の武器の絵を描くか、という話になりました。そこで紅一点のKちゃんが描くことにした武器は・・「木の枝」と「爪」でした。なんてかわいらしいのでしょう。(もしここで、すごい武器を選ぶ女の子がいたとしても、私はそれはそれで感心します)

武器のコレクションも男の闘争本能をくすぐるものなのでしょう。

では女は何でしょう。女の本能と言って思いつくのは母性本能ですが、ただしこれは隠されてもいないし、抑圧されてもいないと思うのです。むしろ子供ができると全開と言いますか。

そこで、私が母性本能をくすぐるゲームであろう、たまごっちをやった時の話です。

最初のたまごっちのブームの時、私はまだ独身で、仕事も忙しくそれどころではなくて、ブームとか品切れとかになって世間ではすごく流行っているんだなと思った程度でした。

新しくなったたまごっちをやったのは、2、3年前だったと思います。娘に頼まれてやりました。私がゲームをやるとしたら、たいてい子供達に頼まれることが多いです。

はじめてのたまごっち・・やるからには一生懸命やりました。初めての場面が出てくるたびに、娘にどうしたらいいかを聞きながら、条件をすべて満たすと「たまとも」になれるので、すべてを最高まで満たして「たまとも」にもなりました。

そして始めてから4日目ぐらいだったと思います。「お見合い」があったので、娘の言うとおりに相手を選び・・すると「結婚」ということになりました。

無事、結婚となって相手とトランクを手に旅立っていく場面・・そこで自分でも信じられないことが起こりました。

あの小さな画面に、生まれてからの今までの出来事が、流れ始めたのです。お嫁に行ってしまう娘の、赤ちゃんのときからの成長の記録・・お金のかかった結婚式で、流されるような映像です。

私は、それを見せられて、号泣してしまいました。

たった3日育てただけです。しかも、ゲームのキャラクター相手にです。ゲームのキャラクターと言っても、あらかじめ仕込まれたストーリーです。たかだか誰かがプログラムして作ったものです。小さな小さな画面の、そんなものに対して泣いて、自分でもアホじゃないかと思いました。

この程度のものに対して、これですから、現実の自分の子供達の結婚のときは一体どうなってしまうのだろうと先が思いやられます。

でも、仕方がないのです。ゲームをやるにしても、本能だけでなく、自分の人生が投影されるのです。独身のときにやっていたとしたら、多分ここまでのことにはならなかったでしょう。たまごっちをとおして、自分の子育てが思い起こされてそれに対して泣けたのです。よく、「歳をとると涙もろくなる」と言いますがそれと同じで、それまでの人生経験が増えるほど、物事に対して感受性が働くのです。経験によって、いろんなことが呼び起こされて、琴線に触れるのでしょう。

人間が本来持っているものに加えて、経験から獲得したものを刺激されると弱いです。ともだちコレクションも、そういう場面があるらしいので、私はむしろもうやりたくないと思いました。ただ、赤ちゃんをあやす場面は大好きなので、そこの部分だけ、子どもに頼まれるとやっています。

どうまとめていいかわからなくなってきましたが、結論:願望を、ゲームの中でやれるのが面白い。抑圧されていればされているほど。しかし、ゲームですべてを満たすことはできない。

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